撮影を始めたきっかけ
バンコクに再々移住した当初、そもそもの1番の目的が「バンコクで暮らすこと」で、撮影自体が本職ではない仕事をしていました。日本ではスタジオでフォトグラファーとして働いていた経験がありながらも、バンコクで再び写真の仕事を始めるには、迷いがありました。
それでも、野球の風景や旅先、自社のウェブサイトや広告用の素材など、自然とシャッターを切る機会はありました。新しいカメラも購入し、撮るたびに「やっぱり写真は楽しい」と実感していました。
それでも、野球の風景や旅先、自社のウェブサイトや広告用の素材など、自然とシャッターを切る機会はありました。新しいカメラも購入し、撮るたびに「やっぱり写真は楽しい」と実感していました。

バンコクで出会った友とのかけがえの無い瞬間
ただ、プロとして再び本気で向き合うには、“きっかけ”が必要だったのかもしれません。
その転機となったのが、「小料理屋て」の最終営業日の撮影でした。
このお店は、日本人学校時代の先輩が営んでいた場所で、私がバンコクで最も長くお世話になった方でもあります。
特に2度目のバンコク生活で、仕事が思うようにいかず、理想と現実のギャップに苦しんでいた時期。ただ優しく寄り添うのではなく、叱咤激励しながら支えてくれたこの店の存在に、私は何度も救われてきました。
励まされ、叱られ、笑い合い、歌い、泣いて、また笑う。この店には、ただ食事をする以上の意味があって、心の拠り所でした。

そして迎えた“最後の日”。
普段は20席にも満たない店に、100人を超える人が集まりました。懐かしい顔、あふれる笑い声と涙、愛の溢れる空間で、私は涙を流しながらシャッターを切っていました。
普段は20席にも満たない店に、100人を超える人が集まりました。懐かしい顔、あふれる笑い声と涙、愛の溢れる空間で、私は涙を流しながらシャッターを切っていました。
そして、この日の撮影で、自分の中に2つの確信が芽生えました。
この写真は人生の宝物になる。あの美しい夜を何度でも鮮明に思い出し、想いを馳せ、人生を彩る大切な存在になる。
そして、やっぱり私は、写真の仕事がしたい。
この写真は人生の宝物になる。あの美しい夜を何度でも鮮明に思い出し、想いを馳せ、人生を彩る大切な存在になる。
そして、やっぱり私は、写真の仕事がしたい。

撮影コンセプト
バンコクでの暮らしに寄り添い、この街で育まれる絆や、その人らしい“生き様”を写していきたい。
バンコクでの暮らしは、特別なようで、どこか当たり前でもある——
けれどその“当たり前の日常”のなかには、言葉にならない想いがあり、人生の転機があり、誰かとの関係が静かに深まっていく時間があります。
私は、そんなバンコクでの特別な日常を、思い出としてだけではなく、“その人らしく生きる証”として写真というかたちで、あなたの手元に残したいと思っています。
そして、出来上がった写真だけでなく、“撮影体験”を通して今の自分を見つめ直す機会になったり、普段やらないことに挑戦してみたり、撮られることの気持ち良さを感じてもらえたりしたら幸いです。
